広大な大地と多様な気候を誇るブラジル。
そのコーヒーは「一言では語れない」豊かな個性を持っています。
今回は、主要な生産地域ごとの味わいの違いを徹底解説します。
☕ ブラジルコーヒーの基本的な特徴
ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、主にアラビカ種と一部ロブスタ種を栽培しています。
全体的な特徴としては…
- 酸味が穏やかでバランスが良い
- ナッツやチョコレートのような甘み
- ボディ(口当たり)がしっかり
- 多様な焙煎度に対応できる
しかし、地域によって香りや甘み、後味に大きな差があります。
🌎 地域別の味わいと特徴
1. ミナスジェライス州(Minas Gerais)
ブラジル最大の生産地で、全国生産量の約半分を占めます。
標高が高く、日較差(昼夜の温度差)が大きいことから風味が豊かです。
- 代表的エリア:スル・デ・ミナス(Sul de Minas)、セラード(Cerrado)、マンチケーラ(Mantiqueira)
- 味わい:ミルクチョコやキャラメルのような甘み、柔らかい酸味
- 焙煎おすすめ:中煎り〜中深煎り(バランス重視)
2. サンパウロ州(São Paulo)
港町サントスからの輸出が多く、「サントスNo.2」などのブランドで有名。
歴史的にブラジルコーヒーの輸出の中心を担ってきました。
- 味わい:軽やかな口当たり、ナッツ感、ややドライな後味
- 焙煎おすすめ:中煎り(マイルドなブレンド向け)
3. エスピリトサント州(Espírito Santo)
ブラジルで最もロブスタ種の生産が盛んな地域。
低地で温暖な気候を活かし、安定した収穫量を誇ります。
- 味わい:苦味が強め、ボディが重く、酸味は少なめ
- 用途:エスプレッソ用ブレンドやインスタントコーヒー
4. バイーア州(Bahia)
比較的新しい生産地域で、灌漑技術を活用して品質向上を実現。
高地ではアラビカ種、低地ではロブスタ種を栽培。
- 味わい:柑橘系の酸味、明るいフレーバー、クリアな後味
- 焙煎おすすめ:浅煎り〜中煎り(スペシャルティ向け)
5. パラナ州(Paraná)
かつては大生産地でしたが、霜害の影響で規模が縮小。
現在は耐寒性のある品種で品質重視の生産を行っています。
- 味わい:まろやかな甘み、やや重めの口当たり
- 焙煎おすすめ:中深煎り(しっかりとしたコク重視)
📊 地域別特徴 まとめ表
地域名 | 主な品種 | 味わいの特徴 | 酸味 | 甘み | ボディ |
---|---|---|---|---|---|
ミナスジェライス | アラビカ | チョコ・キャラメル、バランス型 | ★★☆ | ★★★ | ★★☆ |
サンパウロ | アラビカ | ナッツ感、軽やか | ★★☆ | ★★☆ | ★☆☆ |
エスピリトサント | ロブスタ | 強い苦味、重厚感 | ★☆☆ | ★★☆ | ★★★ |
バイーア | アラビカ・ロブスタ | 柑橘系酸味、クリア | ★★★ | ★★☆ | ★★☆ |
パラナ | アラビカ | まろやかでコクあり | ★★☆ | ★★☆ | ★★☆ |
☕ まとめ
ブラジルコーヒーは「ブラジル=苦味だけ」ではなく、
地域ごとにまるで違う物語を持っています。
- 柔らかい酸味と甘みのミナスジェライス
- 軽やかで飲みやすいサンパウロ
- 重厚な苦味のエスピリトサント
- フレッシュな酸味のバイーア
- コク深いパラナ
次にコーヒーを選ぶとき、ぜひ産地名にも注目してみてください。
一杯の中に、その土地の空気と太陽と土の記憶が息づいています。
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